職場でのいじめや嫌がらせといったパワーハラスメントを防ぐため厚生労働省は初めての法整備を行う方針で、19日開かれた審議会にその素案を示しました。
パワハラをめぐっては、セクハラと異なり規制する法律がありませんが、おととしの国の調査で過去3年間に被害を受けたと感じている人が働く人の3人に1人に上るなど深刻な問題となっています。
こうした中、厚生労働省は、19日開かれた労使の代表者が参加する審議会で、初めての法整備を行いパワハラ防止の取り組みを企業に義務づける方針を示しました。
その素案によりますと、パワハラの定義について「優越的な関係に基づいて業務上必要な範囲を超え身体的もしくは精神的な苦痛を与えること」などとしています。
そのうえで、企業に対して、従業員からの相談に適切に対応できる体制の整備や被害者のプライバシーを守ることなどを義務づけるとしています。取り組みが不十分な企業に対しては労働局が指導を行うということです。
これに対して、労働組合の委員からは「法律でパワハラを含めたハラスメント行為そのものを禁止すべきだ」という意見が上がりました。
また、経済団体の委員からは「企業に取り組みを義務づけるのであればパワハラの定義を明確にして企業の負担軽減に配慮するべきだ」という意見が出ていました。
厚生労働省は労使が参加する審議会で議論を進め、来年の通常国会に関連する法案を提出したいとしています。
-- NHK NEWS WEB