日産自動車のカルロス・ゴーン会長が有価証券報告書にみずからの報酬を実際より少なく記載していた疑いで逮捕された事件について、元経営幹部がNHKのインタビューに答え、幹部や社員によるゴーン氏への過度な信頼が権限の集中につながり、不正が見過ごされる結果になったと指摘しました。
この元経営幹部は、深刻な経営危機に陥っていた平成11年に日産の最高執行責任者に就任した当時のゴーン氏を振り返り、「目標を達成するために何をすべきか社員の意見を聞きながら即決していく手腕に、あらゆる社員がこれで私たちの会社は変わるんだと期待を抱いた」と述べました。
また、ゴーン氏に権限が集中するようになったのはルノーの経営トップも兼任するようになった2005年ごろだと述べたうえで、「実績を出していくにつれて、ゴーン氏への信頼度は高まっていく。過度な信頼によって、ゴーン氏が間違った事を言っても『イエス』と言う人が増え、徐々に方向性がずれていった」と述べ、日産の幹部や社員の間でゴーン氏への依存度が高まったことが権限の集中につながったと指摘しました。
そして、そうした組織の風土が長年続き、ゴーン氏の意に沿う人材が社内で重用されるようになり、不正が見過ごされる結果につながったのではないかと指摘しました。
-- NHK NEWS WEB