製薬業界で国内最大手の「武田薬品工業」がアイルランドの製薬大手を日本円にして6兆円余りで買収する計画について、EU=ヨーロッパ連合は武田薬品が買収相手の一部事業を第三者に売却することを条件に承認しました。
武田薬品はアイルランドに本社がある製薬大手「シャイアー」のすべての株式を総額460億ポンド、日本円にして6兆6000億円余りで取得し買収することでシャイアーと合意しています。
ただ、EUの執行機関にあたるヨーロッパ委員会は、買収によって一部の事業が重複し、シャイアーが手がける潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患の新薬開発が妨げられて、技術革新や正当な競争が損なわれかねないと懸念を表明していました。
これに対して武田薬品は、シャイアーが開発中の新薬の事業を第三者に売却すると提案し、ヨーロッパ委員会は懸念は払拭(ふっしょく)されたとして20日、買収計画を承認したと発表しました。
EUの競争政策を担当するベステアー委員は声明で、「技術革新と患者の治療の選択肢を確保するものだ」と強調しました。
武田薬品は来月5日に大阪で臨時の株主総会を開き、シャイアーの買収を諮ることにしていて正式に決まれば日本企業としては過去最大規模の海外企業の買収が行われることになります。
-- NHK NEWS WEB