医療現場で診療行為をしているのに給料が出ないいわゆる「無給医」がいる大学病院がこの5年以内に34か所に上るという調査結果がまとまりました。これまで国は無給医は存在しないとしてきましたが、所管する文部科学省は「事実だとすれば確認が必要だと考えている」とコメントしています。
無給医は外来や当直などで診療行為を行っていながら、給料が支払われていない医師のことです。
この仕組みは大学病院などで若手の研修を名目に長く続けられていましたが、医師の過労死などが相次いだことで見直され、国は平成24年の時点で、すでに存在しないとしていました。
しかし、医療情報サイトの運営会社、「エムスリー」がインターネット上で431人の医師にアンケート形式で調査した結果、全体の半数近い198人が「無給医を経験したことがある」と回答しました。
内訳は、現在も無給医であると答えたのが31人、この5年以内と答えた人が59人などとなっています。
さらに、これらの無給医が所属していた大学病院は、国立大学が16、公立大学が4、私立大学が14の合わせて34か所に上っていました。
また、無給医の7割が社会保険や雇用保険に加入していないと回答しました。
今回の結果を受けて、NHKが大学病院を所管する文部科学省に取材したところ、「報道内容が事実であれば確認が必要だと考えている」とコメントしました。
厚生労働省の医師の働き方検討会の副座長で東京大学の渋谷健司教授は「大学病院の経営は非常に厳しくなってきている。それが若い医師にしわよせが来るという構造は是正する必要があると思う。どのくらい無給医がいて、実際にどういう待遇なのかきちんと国が責任を持って調査すべきだ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB