日産自動車のカルロス・ゴーン会長が逮捕された事件で、側近の代表取締役が「フランスでゴーン会長の報酬額が知られていれば批判を受けてルノーから解雇されていたかもしれない」などと周囲に話していたことが関係者への取材で分かりました。東京地検特捜部は8年前に高額の役員報酬が開示されることになったのをきっかけにうその記載を始めたとみて、実態解明を進めています。
日産自動車の会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)は平成27年までの5年間に有価証券報告書にみずからの報酬を実際より50億円余り少なく記載していたとして代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)とともに、金融商品取引法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
日本の上場企業は8年前の平成22年に1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられましたが、ゴーン会長の側近のケリー代表取締役が「フランスでゴーン会長の以前の報酬額が知られていれば批判を受けてルノーから解雇されていたかもしれない」などと周囲に話していたことが関係者への取材でわかりました。
当時、フランスでは金融危機の影響で大企業の役員の高額な報酬への批判が高まっていて、日本で高額の役員報酬が初めて開示された平成22年の日産の役員報酬の総額は前の年より9億円少なくなりました。
この年、公表されたゴーン会長の報酬は8億9000万円で、その後も10億円前後で推移しているとしていました。
特捜部は役員報酬が開示される制度の導入をきっかけにゴーン会長が突出した高額の報酬への批判を恐れてうその記載を始めたとみて、実態解明を進めています。
-- NHK NEWS WEB