巨額の債務を抱えるイタリア政府の来年の予算案について、EU=ヨーロッパ連合は、財政赤字の削減を求めた勧告を守っていないとして、制裁手続きを始めるのが妥当だという判断を示しました。イタリア政府は強く反発するとみられます。
イタリア政府は先月、失業者などへの所得保障や年金の支給開始年齢の事実上の引き下げなどを盛り込んだ来年の予算案を、審査を担当するEUのヨーロッパ委員会に提出しました。
ヨーロッパ委員会は、この案では財政赤字が拡大する見通しだとして、イタリア政府に見直したうえで再提出するよう求めていましたが、イタリアは大幅な修正を加えないまま今月13日、再提出していました。
これを受けてヨーロッパ委員会は20日、「財政再建から逸脱するリスクがあり、深刻な違反が確認された」とする報告書を発表しました。
ヨーロッパ委員会のドムブロフスキス副委員長は、記者会見で「過剰な財政赤字の是正手続きに入るのが妥当だ」と述べ、制裁に向けた手続きを始めるべきだという考えを示しました。
この手続きでは、財政赤字や債務削減に向けた是正勧告が段階的に行われ、従わなければ、GDP=国内総生産の0.2%の制裁金が科されることになります。
ヨーロッパ委員会は、近く制裁に向けた手続きの開始を加盟各国に正式に勧告し、各国も支持するものとみられますが、イタリアは強く反発するとみられます。
-- NHK NEWS WEB