世界各国の記者で作る団体が、ペースメーカーや人工関節など体内に埋め込む医療機器の不具合などによって引き起こされる健康被害の実態について世界規模で調査を行い、26日から結果の公表を始めました。
調査を行ったのは、アメリカに本部があるICIJ=国際調査報道ジャーナリスト連合です。
ペースメーカーや人工関節、輸液ポンプといった体内に埋め込む医療機器は、さまざまな国で同じ製品が販売されていますが、国によって認可の制度が異なるうえ、不具合や事故などが起きても、その情報が国境をまたいで十分に共有されているとは言い難いのが現状です。
このためICIJは、36か国の250人以上の記者と連携して、医療機器の安全性に関する情報を世界規模で集めて分析する調査を行い、日本からもNHK、朝日新聞、共同通信が参加しました。
およそ1年をかけた調査では、各国で合わせて1500件以上の情報公開請求を行ったほか、医療機器が原因とみられる死傷事案や機器のリコールに関する情報800万件余りを集めました。
これらの情報を分析した結果、不具合などが原因で死亡したと疑われる人が過去10年間に世界でおよそ8万3000人に上ることが判明したとしています。
ICIJは、26日からホームページに調査の結果をまとめた記事を掲載するとともに、今後、各国で集めた情報を横断的に検索できる独自のデータベースを公開することにしていて、世界で流通している医療機器の安全確認に役立ててほしいとしています。
-- NHK NEWS WEB