国際宇宙ステーションから地球に物資を運んだ日本初の回収カプセルが27日報道機関に公開され、JAXA=宇宙航空研究開発機構は、内部の温度は設計通り4度に保たれるなど、おおむね技術が実証できたと発表しました。
国際宇宙ステーションで無人の宇宙輸送船「こうのとり」7号機に搭載された回収カプセルは、今月11日「こうのとり」から切り離されて大気圏に突入し、小笠原諸島の南鳥島の近海で回収されました。
カプセルは底面がおよそ80センチある円すいに近い形をしていて、27日は茨城県つくば市のJAXAの施設で分解された状態で公開されました。
本体のほか、着水の際に使ったパラシュートや内部の物資を守った魔法瓶の技術を活用した容器なども披露されました。
容器はアルミやステンレスなどでつくられていて、3重の構造になっています。
物資を収める最も小さい容器は保冷剤を使って低温に保つことが可能で、開発には魔法瓶メーカーも参加して独自の断熱技術を確立しました。
JAXAによりますと、大気圏突入時、表面温度はおよそ2000度にもなりましたが、容器の内部は設計通りおよそ4度に保たれていたということです。
そして、今回運んだ宇宙ステーションで結晶化した医療研究用のたんぱく質を顕微鏡などで確認したところ結晶は維持され、今後の研究で利用できる状態だったということです。
国際宇宙ステーションから地球に物資を運ぶ回収カプセルの技術は、現在、アメリカとロシアしかもっておらず、将来の有人探査にも応用できることから計画の成否が注目されていました。
開発にたずさわったJAXAの田邊宏太開発チーム長は「日本初となった回収カプセルの技術はおおむね実証できたと言え、100点以上だと思います。次はカプセルを搭載した輸送船『こうのとり』が無くても地球に戻るシステムをつくっていきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB