イギリスのメイ首相は、EU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐる交渉に向けて、域内の単一市場から撤退する意向を表明しましたが、これまで単一市場へのアクセスを維持するよう求めてきた経済界などで反発が広がるのは避けられない見通しで、EUとの交渉開始に向けなお曲折も予想されます。
メイ首相は17日、ロンドン市内でEUからの離脱をめぐる交渉に向けた政府の方針について演説しました。この中でメイ首相は、域内で人の自由な移動を認めモノやサービスの取り引きを活発にする単一市場について、「とどまることはできない」と述べ、単一市場から撤退する意向を初めて表明し、EUと新たな自由貿易協定の締結を目指して交渉する考えを示しました。
EUからの離脱による経済的な打撃を懸念してきたイギリスの経済界は、単一市場へのアクセスを維持するよう強く要望してきただけに、メイ首相の方針に反発が広がるのは避けられない見通しで、企業や金融機関がイギリスから拠点を移す動きが加速するおそれもあります。
また、イギリスの最高裁判所は今月中にも、EUに離脱を通知する前に議会の承認が必要かどうかの判断を示すことになっていますが、仮に議会の承認が必要となった場合、単一市場へのアクセスの確保を訴えてきた与野党の議員が抵抗し、審議が難航する事態も予想されます。
-- NHK NEWS WEB