アルゼンチンを訪れている安倍総理大臣は、日本時間1日未明、中国の習近平国家主席と会談し、今回の米中首脳会談で有益な議論が行われるとともにG20サミットの議論への両国の建設的な貢献に期待を示しました。一方で、貿易摩擦の根本的な解決に向け国有企業への補助金などアメリカ側の懸念に対する具体的な対応を促しました。
会談の冒頭、習主席は10月の安倍総理大臣の中国訪問を踏まえ、「自分は両国の将来に自信がある。安倍総理大臣とともに関係発展のため政治的指導力を発揮し、新たなエネルギーを注いでいきたい」と述べました。
これに対し、安倍総理大臣は「来年は習主席を日本にお招きし首脳どうしの間断のない相互往来を通じて、あらゆる分野の交流、協力を一層発展させていきたい」と応じました。
そのうえで、今回の米中首脳会談で貿易投資をめぐる問題を含めて有益な議論が行われるとともにG20サミット全体の議論に両国が建設的に貢献することに期待を示しました。
また、米中の貿易摩擦について「問題の根本的な解決には国有企業への補助金、知的財産の保護、強制的な技術移転などに具体的な措置を講ずることが重要だ」と指摘し、アメリカ側の懸念に対する具体的な対応を促しました。
さらに、両国が第三国で進めるインフラ整備の支援をめぐって、透明性や開放性など国際的なスタンダードに沿うことが重要だという認識を伝え、両国間の意思疎通を強化していくことで一致しました。
一方、安倍総理大臣は、原発事故を受けた日本産食品の輸入規制をめぐり、先に、中国が、新潟県産のコメの輸入制限解除を発表したことを歓迎し、ほかの規制の早期解除を求め、習主席は科学的評価に基づき適切に対応する考えを示しました。
また、両首脳は東シナ海の安定なくして日中関係の真の安定はないという認識を改めて確認し、安倍総理大臣は尖閣諸島の状況改善に加え、ガス田開発をめぐり中断している条約締結交渉の早期再開を要請しました。
加えて、北朝鮮情勢をめぐって、朝鮮半島の非核化に向けて国連安保理決議の完全な履行や北朝鮮が海上で物資を積み替える「瀬取り」への対策の重要性も確認しました。
-- NHK NEWS WEB