日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、ゴーン前会長が日産の会長を退任する時期について複数のシナリオを想定した文書が日産内部で作成され、支払う報酬の額や名目などが具体的に検討されていたことが関係者への取材でわかりました。
日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、有価証券報告書にみずからの報酬を少なく記載していたとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕されました。
東京地検特捜部は、ゴーン前会長が実際の報酬との差額を退任後に受け取ることが確定していたとみて調べていますが、ともに逮捕された前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)が、1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、退任後に支払う報酬を具体的に記した合意文書を毎年作成していたことが関係者への取材でわかりました。
また日産の会長を退任する時期について複数のシナリオを想定した文書も日産内部で作成され、支払う報酬の額や名目などが具体的に検討されていたということです。
退任時期についての検討は遅くとも4年ほど前から始まり、日産の会長とグループの統括会社「ルノー・日産BV」の会長を同時に退任するシナリオや、日産の会長を退任した2年後に統括会社の会長を退任するシナリオなどが検討されていたということです。
特捜部はこうした文書が前会長の退任後の報酬が確定していたことを示す証拠の1つとみて調べているものとみられます。
一方、関係者によりますとケリー前代表取締役は「文書はゴーン前会長を日産につなぎとめるために作成したが、退任後の報酬は正式に決まっていなかった」などと主張しゴーン前会長とともに容疑を否認しているということです。
-- NHK NEWS WEB