ことし5月、東京都内の高速道路で補強工事に携わっていた作業員2人が鉛中毒と疑われ、激しい腹痛や手足のしびれなどの症状が出る危険が高いと診断されたほか、ほかにも6人が作業を続けると鉛中毒を発症する可能性が高いと判断されたことがわかりました。いずれも橋脚などの劣化を防ぐために塗装に混ぜて塗られた鉛を誤って吸い込んだとみられ、厚生労働省などは注意を呼びかけています。
東京・江東区にある「ひらの亀戸ひまわり診療所」によりますと、ことし5月東京都内の高速道路で補強工事に携わっていた作業員33人が健康診断で血液検査を行った結果、血中に含まれる鉛の数値が異常な値を示すケースが相次ぎました。
このうち、2人が国が基準としている血液100ミリリットル中、60マイクログラム以上の鉛が検出され、鉛中毒と疑われると診断されました。自覚症状はありませんでしたが激しい腹痛や手足のしびれなど、中毒特有の症状が出る危険が高い状態だったということです。
さらに、ほかにも6人が国の基準は下回りましたが、このまま作業を続けると中毒を発症する可能性が高いと判断されたということです。
診療所や会社側によりますと、いずれも橋脚などの劣化を防ぐために過去に塗装に混ぜて塗られた鉛を誤って吸い込んだとみられ、厚生労働省などは注意を呼びかけています。
診察した毛利一平医師は「これほど血液中の鉛の濃度が高い作業員が多くいることに驚いた。全国でインフラの補修工事が進む中、ほかの工事現場でも同様の鉛中毒の危険はあり、今後、中毒を発症する作業員が出る可能性がある」と話しています。
厚生労働省などによりますと、4年前、東京の高速道路で改修工事などをしていた14人の作業員が鉛中毒となる災害が発生したため、業界団体などに対策の徹底を呼びかけています。
-- NHK NEWS WEB