中国政府は、アメリカとの貿易摩擦の影響が国内の雇用にも影響を与えているとして、企業などへの支援策を打ち出しました。アメリカとの貿易をめぐる交渉が続くなか、国民生活への影響を最小限に抑えたい狙いがあるとみられます。
中国政府が5日に発表した支援策では、来年1年間、経営が困難になっても人員削減を最小限にとどめる企業に対し、ことし政府に納めた保険料の一部を返還するとしています。また、失業者を見習いとして雇う企業への補助金を拡充するほか、失業者の職業訓練なども強化するとしています。
雇用問題を担当する高官は5日の記者会見で、雇用情勢は全体的に安定しているものの不確定な要素が増しているとしたうえで、「アメリカとの貿易摩擦の影響は雇用にも及んでいる」と述べ、対策の必要性を説明しました。
米中の間では、今月1日の首脳会談で貿易をめぐって新たな関税の引き上げを一時見送り、90日以内の期限を設けて交渉を行うことになりましたが、これまでに双方が引き上げた関税によって、一部の企業の経営に影響が出始めていると指摘されています。中国政府としては、支援策を打ち出すことで国民生活への影響を最小限に抑えたい狙いがあるとみられます。
-- NHK NEWS WEB