長時間労働が問題となっている教員の働き方を見直すため、国が新たな方針を示しました。これまで基準がなかった残業時間の上限を月45時間とすることや、夏休みなどにまとまった休みを取る代わりに平日の勤務時間を延ばす「変形労働時間制」という新たな制度を導入するとしています。専門家や現場の教員からは、その実現性などに疑問の声が上がっています。
文部科学省の中教審=中央教育審議会は、長時間労働が問題となっている教員の働き方を見直すため、新たな方針案をまとめました。
それによりますと、これまで明確な基準がなかった残業時間の上限を月45時間と定めてガイドラインに示し、学校現場に順守するよう求めています。
また1年間を通じて勤務時間を調整する「変形労働時間制」と呼ばれる新たな制度を導入するとしています。
夏休み中の8月などにまとまった休みを取得する代わりに、学期中の忙しい平日の勤務時間を延長できるようにするのがねらいです。
さらに部活動などで外部人材を活用することや、学校行事を見直すなど業務も削減するよう併せて求めています。
文部科学省は、これらの新たな取り組みを来年春までに現場に通知して、必要な制度改正を行うことにしています。
こうした国の新たな方針について、専門家や学校現場からは、新たな45時間という残業時間の上限を守るのは難しいという声や、変形労働時間制についても8月には研修や部活動などがあり、まとまった休みは取りづらいという声が上がっています。
日本教育学会の会長で日本大学の広田照幸教授は「今回示された方針どおりに業務改善が進むとは考えにくい。教員の定数や外部人材を増やすなど、学校の条件整備を進めることが重要だ」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB