台湾で人気のパン屋が中国に出店したところ、インターネット上で広まったデマをきっかけに、「台湾独立を支持する店だ」と批判され、店の経営者が「1つの中国の原則を支持する」と、釈明に追われる騒ぎとなっています。
「呉宝春ベーカリー」は、パン作りの世界大会でチャンピオンになった台湾のパン職人が経営する人気のパン屋で、日本人観光客の間でも話題になっている店です。
このほど中国・上海に初めて出店したところ、インターネット上で「この店の経営者は”餓死しても中国には進出しない”と言っていた」とするデマが拡散し、「台湾独立を支持する店だ」という批判が相次ぎました。
不買運動など事業に悪影響が及ぶのを懸念したパン屋の経営者は、10日、声明を発表し、「私は中国の台湾で生まれた中国人だ。『1つの中国』という原則を支持する」と述べ、釈明に追われる騒ぎとなっています。
これについて蔡英文総統は、11日記者団に対し、「事態は非常に深刻で、中国は政治で経済活動をねじまげようとしている。政治的な圧迫を台湾の人々は受け入れない」と批判しました。
こうした中国に進出する台湾の企業がネット上で「独立派だ」と批判を受け、企業側が「1つの中国」への支持を表明する事例はあとを絶たず、中国と台湾の政治的な問題の板挟みになっています。
-- NHK NEWS WEB