自民党税制調査会は、来年10月の消費税率引き上げに伴う景気対策として、自動車や住宅に関する減税措置の拡充などを盛り込んだ来年度の税制改正大綱の内容をおおむね固めました。一方、未婚の一人親に対する支援策をめぐっては自民・公明両党の意見の隔たりが埋まっておらず、大詰めの調整が続いています。
自民党は12日、税制調査会の会合を開き、来年の消費税率引き上げに伴う景気対策などを盛り込んだ、来年度の税制改正大綱の内容をおおむね固めました。
【自動車】
焦点となっていた自動車関連税制は、車を持つ人に毎年課税される「自動車税」について、来年10月以降に購入した人を対象に最大で年4500円を恒久的に減税するとしています。
これにより、
▽排気量が1000CC以下の最も小さなクラスの車で税額が年2万9500円から2万5000円に、
▽排気量が1500CCの場合、年3万4500円から3万500円に引き下げられます。
自動車の購入時に燃費性能に応じて課される税金は、来年10月からの1年に限って最大3%の税率を1%分軽減するとしています。
【住宅】
住宅については、増税後に購入した場合、「住宅ローン減税」を受けられる期間を3年延長し、その間は最大で建物価格の2%分を減税して消費増税分の負担を実質的に無くすとしています。
都市と地方の税収格差を是正するため、企業が自治体に納める地方法人税のうち法人事業税の一部を国が徴収し地方に再配分する新たな措置を講じるとし、これにより東京都の税収はおよそ4200億円が地方に再配分されることになります。
【その他】
▽民泊などのいわゆる「シェアリングエコノミー」や仮想通貨の取り引きで、利益を得た人の課税逃れを防ぐため、国税当局が仲介企業に情報を照会できるようにする新たな制度を整備することや、
▽祖父母や親から教育資金を援助してもらう際、贈与税が非課税になる特例措置に所得制限を設けること、なども盛り込まれています。
一方、未婚の一人親に対する支援策をめぐっては、公明党が、配偶者と死別したり離婚したりした一人親と同様に税負担を軽減するよう求めているのに対し、自民党内では「税ではなく予算で対応すべきだ」といった意見や「税負担を軽減する場合でも限定的にすべきだ」という主張もあり、双方の隔たりは埋まっていません。
このため両党の税制調査会長らによる大詰めの調整が行われていて、13日に予定されていた税制改正大綱の決定は14日以降にずれ込む見通しとなりました。
-- NHK NEWS WEB