日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が逮捕された事件で、前会長の報酬を定めたとされる文書に、未払い分を含む報酬の総額が英語で「固定報酬」と表記されていたことが関係者への取材で分かりました。こうした文書には前会長みずからのサインがあり、東京地検特捜部は退任後の報酬が確定していたことを示す証拠の1つとみて捜査を進めています。
日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、昨年度までの直近3年間のみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載していたとして今月10日、金融商品取引法違反の疑いで再逮捕されました。
東京地検特捜部は、ゴーン前会長が高額の報酬への批判を避けるため、実際の報酬との差額を退任後に受け取ることにしていたとみて調べていますが、ゴーン前会長の報酬を定めたとされる文書に、未払い分を含む報酬の総額が英語で「Fixed Remuneration=固定報酬」と表記されていたことが関係者への取材で分かりました。
こうした文書にはゴーン前会長みずからのサインもあったということです。
金融商品取引法などでは、将来支払われる報酬でもその見込み額が明らかになった段階で有価証券報告書に記載する必要があるとしていて、特捜部はこうした文書が退任後の報酬が確定していたことを示す証拠の1つとみて捜査を進めています。
関係者によりますとゴーン前会長は「文書には会社の代表としてではなく『内容を確認した』という意味で個人としてサインした。記載された報酬の総額は目安であり、退任後の報酬は正式には決まっていない」などと供述し、容疑を否認しているということです。
-- NHK NEWS WEB