ソフトバンクグループが携帯事業の子会社を上場させたのは、財務基盤の改善に加えて、会社が力を入れるAI=人工知能やロボットなど成長分野への投資事業の強化がねらいです。
ソフトバンクグループは、サウジアラビアの政府系ファンドから出資を受けて10兆円規模のファンドを設立しているのをはじめ、AIやロボット分野の海外企業への投資を相次いで行い、このところ“投資会社”としての色合いを強めています。
孫正義社長も、ことし6月の株主総会の場で「これまでは頭の中の97%を通信、残り3%を投資に充ててきたが、これからは97%を投資に振り向ける」として、投資事業をグループの中核にする考えを明確にしていました。
そのうえで、通信事業に携わる社員の4割を、今後、AIなどの新規事業に振り向ける方針も明らかにしています。
一方、これまでソフトバンクグループは主に借り入れや社債などで資金を調達してきたことから、有利子負債はことし9月末の時点で16兆6000億円余りに上っています。
このため、上場で得た資金は財務基盤の改善と投資事業の強化に振り向ける方針で、ソフトバンクグループは投資会社としての色合いをより一層強めることになります。
また、今回上場したソフトバンクにとっては、国内の携帯市場が成熟しているうえ、政府が料金の値下げを迫っていることもあり、今後の成長戦略をどう描くかが課題になりそうです。
-- NHK NEWS WEB