日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が10年前のリーマンショックで生じた私的な投資での損失をめぐり、日産側から日本円で16億円余りの資金を流出させた疑いがあるとして東京地検特捜部は日産に損害を与えた特別背任の疑いで再逮捕しました。東京地方裁判所は20日、ゴーン前会長らが今月10日に再逮捕された容疑について勾留の延長を認めない決定をしていましたが、今回の再逮捕を受けてゴーン前会長の身柄の拘束はさらに長期化する見通しです。
再逮捕されたのは日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)です。
東京地検特捜部の調べによりますとゴーン前会長は10年前の平成20年、リーマンショックの影響でみずからの資産管理会社が銀行と契約して行った金融派生商品への投資で18億5000万円の含み損を出したため、投資の権利を日産に移し損失を付け替えた疑いがあるということです。
この権利はその後、再びゴーン前会長の資産管理会社に戻されましたが、前会長はこの際の信用保証に協力したサウジアラビア人の知人が経営する会社に、平成21年から24年にかけて日産の子会社から1470万ドル(日本円でおよそ16億円)を送金させた疑いがあるということです。
特捜部はこうした一連の行為が日産に損害を与えた特別背任にあたると判断し再逮捕しました。証券取引等監視委員会も当時、日産に権利を移した取り引きを把握し銀行側に違法性のおそれを指摘していたということです。
関係者によりますとゴーン前会長はこの取り引きについて「当局に違法性があると指摘されたため、損失の付け替えは実行しておらず、日産に損害は与えていない」などと説明していたということです。
ゴーン前会長はみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した疑いで今月10日に再逮捕され、特捜部は20日、勾留の延長を求めていましたが、東京地方裁判所は、勾留の延長を認めない極めて異例の決定をしていました。今回の再逮捕を受けてゴーン前会長の勾留はさらに長期化する見通しです。
-- NHK NEWS WEB