札幌市豊平区の不動産会社の店舗で爆発が起き、52人がけがをした火事で、爆発の原因とみられるスプレー缶の取り扱いについて、この不動産会社と同じ系列の加盟店で働いていた元従業員がNHKの取材に応じ、「利益の底上げのために『消臭抗菌料』の名目で販売していたが、実際には使わずに店に余ることがあった」などと実態を証言しました。
今回の爆発の原因とみられるスプレー缶は、仲介する物件の室内を除菌・消臭するためのもので、札幌市豊平区の店舗を運営する「アパマンショップリーシング北海道」によりますと、仕入れ値が1000円程度のものを、施工代込みで1本1万円から2万円程度で販売していました。
しかし、爆発があった豊平区の店舗では、客から料金を受け取りながら、実際にはスプレーを使っていないケースがあったということです。
この不動産会社と同じ系列の加盟店で働いていた元従業員は、同じようなことが勤めていた店でも行われていたと証言します。
元従業員は「仲介手数料が下がり、売り上げが減る傾向にある中、利益の底上げのために『消臭抗菌料』の名目で販売していた。しかし、施工を行ったかどうかは客には分からないので、実際にはスプレーを使わず店に余ることがあった」と話しています。
元従業員がいた店では、余ったスプレー缶を従業員らがそれぞれ自宅や車などにため込み、個別に処分していたということで、中には1人で数十本を抱えるケースもあったということです。
今回爆発が起きた店舗に大量の在庫があったことについて、この元従業員は「店ぐるみでやっていたのであれば、大量にあっても不思議ではない」と話しています。
そのうえで、こうしたスプレー缶を取り扱っていることについて、「客にとって本来必要のないものを売らなければ利益が確保できないという不動産業界の環境に根本的な問題があると思う」と話していました。
-- NHK NEWS WEB