中国の習近平指導部が掲げる経済圏構想「一帯一路」で陸路の中核を担う鉄道路線を利用して日本の物流大手の日本通運が貨物の定期便の試験運行を始め、中国に進出している日系メーカーの物流環境の改善につながるとの期待が広がっています。
20日は試験運行を記念して、出発地となる中国内陸部の陝西省西安の駅で式典が開かれ、日本通運の杉山龍雄常務執行役員が「鉄道の持つ大量輸送と定時制を大いに利用し、沿線諸国の発展に貢献していきましょう」とあいさつしました。
このあと貨物列車が出発し、出席者が拍手で見送りました。
試験運行は西安からドイツのデュイスブルクまでのおよそ1万キロの区間で行われます。41個のコンテナを連結した列車を18日間で運搬する計画で、早ければ来年3月からの定期便の運行を目指しています。
日本通運によりますと、鉄道輸送はコストが航空便の半分以下、日数は船便の半分程度に抑えられるのがメリットだということです。
この鉄道路線は習近平指導部が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」の主要事業と位置づけられていて、日系メーカーの物流面の利便性が向上するだけでなく、中国にとっても新たな企業誘致につながるという期待が広がっています。
日通国際物流(中国)の福島竜男本部長は「今回の試験はわれわれもわからなかったことをお客様と解明し、ビジネスチャンスを広げる節目だ。内陸部は鉄道のメリットも大きく事業化できると考えている」と話していました。
-- NHK NEWS WEB