特別背任の疑いで再逮捕された日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が、私的な投資での損失をめぐって日産側から流出させたとされる16億円余りは、CEO=最高経営責任者の裁量で使いみちが決められる資金から不正に支出された疑いがあることが、関係者への取材で分かりました。一方、前会長は容疑を否認し、「この資金は日産側が正当な業務委託料として支払ったものだ」などと説明しているということです。
日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、10年前のリーマンショックで生じた私的な投資での損失をめぐり、日産側の資金を流出させたなどとして、21日に特別背任の疑いで東京地検特捜部に再逮捕されました。
関係者によりますと、ゴーン前会長はみずからの資産管理会社が、新生銀行と契約して行った投資で18億5000万円の含み損を出し、銀行側から追加の担保を求められたため、前会長のサウジアラビア人の知人の協力を得て、別の銀行による信用保証を取り付けてもらったということです。
ゴーン前会長はこの知人の会社に、UAE=アラブ首長国連邦にある日産の子会社から16億円余りを送金させていましたが、この金はCEO=最高経営責任者の裁量で使いみちが決められる資金から支出された疑いがあることが、関係者への取材で分かりました。
特捜部はゴーン前会長が信用保証への謝礼として、みずからの裁量で使える資金を不正に流用していたとみて捜査を進めています。
一方、関係者によりますとゴーン前会長は容疑を否認し、「知人側への資金は日産側が正当な業務委託料として支払ったものだ。この知人に信用保証のための資金を出してもらったことはあったが、それは個人の資金で返済している」などと説明しているということです。
-- NHK NEWS WEB