日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が知人側に不正に支出したとされる16億円余りは知人の会社が発行した「販売促進費」などの請求書に基づいて支払われていたことが関係者への取材でわかりました。東京地検特捜部は実態のない請求書を作り正当な報酬に見せかけていた疑いがあるとみて捜査を進めています。一方、ゴーン前会長は「知人への正当な報酬だった」などと容疑を否認しているということです。
日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、私的な為替取引での損失をめぐり信用保証に協力したサウジアラビア人の知人の会社に日産の子会社から16億円余りを不正に支出したとして、特別背任の疑いで東京地検特捜部に再逮捕されました。
この16億円余りは知人の会社が発行した「販売促進費」などの請求書に基づいて、平成21年6月から4回に分けて支払われていたことが関係者への取材でわかりました。
知人は、その4か月前の平成21年2月、ゴーン前会長が損失をめぐって銀行側から追加の担保を求められた際、およそ30億円を海外の別の銀行に預ける形で信用保証に協力していました。
信用保証への協力の以前に知人の会社に多額の資金が送金された実績はなかったということで、特捜部は信用保証への謝礼などとして支払われた報酬を正当なものに見せかけるため実態のない請求書を作っていた疑いがあるとみて捜査を進めています。
一方、弁護士によりますとゴーン前会長は「支払いは信用保証への謝礼ではなく日産のトラブルの解決や王族へのロビー活動などに対する正当な報酬だった」などと容疑を否認しているということです。
-- NHK NEWS WEB