大手広告会社、電通の新入社員だった高橋まつりさんが過労のため自殺した問題で、高橋さんの母親と代理人の弁護士が記者会見し、電通が遺族に謝罪し、再発防止の措置を取るとともに慰謝料などを支払うことで20日、合意したことを明らかにしました。
電通は、新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺した問題を受け、高橋さんを含む社員に違法な長時間労働をさせたとして先月、労働基準法違反の疑いで書類送検されています。
20日、高橋さんの母親の幸美さんと代理人の弁護士が記者会見し、電通側と話し合いを重ねた結果、合意書に調印したことを明らかにしました。
合意書には、石井直社長が遺族に直接謝罪したことや、遺族に対して残業代の未払い90万円を含む慰謝料などの解決金を支払うことが盛り込まれています。解決金の金額は明らかにしていませんが、高橋さんが亡くなったことについて会社側が全面的な責任を負うことを前提とし、社会的に相当な金額であるとしています。
また、残業時間の上限の削減や、社員の心得、『鬼十則』の社員手帳への掲載の見送り、それに、パワハラなどのハラスメント予防といった再発防止の措置のほか、今後3か月以内に役員と管理職を対象に遺族も出席した研修会を実施することなどで合意したということです。
遺族側は今後も毎年、電通に再発防止の措置についての実施状況の報告を求めるなど、改革が進むか注視していくとしています。
幸美さんは「合意には至りましたが、会社側がどんなに謝罪を述べたとしても、再発防止を約束したとしても、娘は二度と生きて帰ってくることはありません。娘や、これまで過労で亡くなった多くの人たちの死をむだにしないためにも、影響力のある電通が改革を実現してほしい」と話しました。
-- NHK NEWS WEB