日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が特別背任の疑いで再逮捕された事件で、サウジアラビア人の知人が前会長の私的な損失への信用保証に協力した際、前会長が知人側に金銭を支払う条件などが文書に記されていたことが関係者への取材でわかりました。東京地検特捜部はゴーン前会長が信用保証への対価として日産の資金を不正に支出したとみて捜査を進めています。
日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)は、私的な為替取引での損失をめぐり信用保証に協力したサウジアラビア人の知人の会社に日産の子会社から16億円余りを不正に支出したとして、特別背任の疑いで東京地検特捜部に再逮捕されました。
関係者によりますと、信用保証に協力したのは日産とつながりが深い、サウジアラビア有数の実業家ハリド・ジュファリ氏で、平成21年2月、およそ30億円を海外の銀行に預ける形で信用保証に協力したということです。
この際、前会長側がジュファリ氏側に金銭を支払う条件などが文書に記されていたことが新たにわかりました。
その後、16億円余りの資金はCEO=最高経営責任者に裁量がある予備費から「販売促進費」などとしてジュファリ氏の会社に4回に分けて送金されていたということです。
特捜部はこうした文書の内容などからゴーン前会長が信用保証への対価として日産の資金を不正に支出したとみて捜査を進めています。
一方、弁護士によりますとゴーン前会長は容疑を否認し、「信用保証に協力してもらったのは事実だがジュファリ氏が銀行に預けた30億円に損失は出ておらず、16億円もの対価を支払う理由がない。支払いは王族へのロビー活動などに対する正当な報酬だった」などと供述しているということです。
-- NHK NEWS WEB