国際的なリスク分析で知られるアメリカの国際政治学者、イアン・ブレマー氏は、NHKのインタビューで、国際社会が世界的な危機に協調して対処する能力を失っているという分析を示し、警告しました。
アメリカの有力な調査会社「ユーラシア・グループ」を率いるブレマー氏は、7日に発表した「ことしの10大リスク」で、最大のリスクを「悪い種」と表現し、トランプ政権の統治機能の低下や、同盟関係の弱体化などが世界に重大な結果をもたらしかねないと指摘しました。
これについて、ブレマー氏は8日、NHKとのインタビューに応じ、アメリカと各国の関係が希薄になっているとしたうえで、2001年の同時多発テロや2008年の金融危機の際にみられた国際的な協調姿勢は望めなくなっているという分析を示しました。
そして、「次の危機が感染拡大かテロ攻撃か景気後退か分からないが、言えるのはわれわれの危機に対処する能力が大幅に低下し、その結果、危機はさらに深刻なものになりかねない。それが最大の問題だ」と警告しました。
一方、ブレマー氏は、2回目の米朝首脳会談の開催について、「トランプ大統領は北朝鮮が非核化にむけて前向きな動きを見せなくても、会談したいと思っているだろう」と述べ、政治的なショーになる可能性があるとしたうえで、北朝鮮に核を放棄する意思があるとは思えないとして、非核化の進展に悲観的な見方を示しました。
-- NHK NEWS WEB