スイスの製薬会社が、日本の後発医薬品のメーカーに特許権を侵害されたとして生産を止めるよう求めた裁判で、知的財産高等裁判所は、訴えを退ける判決を言い渡しました。判決では、製薬会社の事情によって特許権の期間が延長された場合、権利の及ぶ範囲がどれだけ狭まるかが初めて示され、後発医薬品の開発に影響を与えるものと見られます。
スイスの製薬会社「デビオファーム・インターナショナル・エス・アー」は、自社の抗がん剤の特許権の期間が延長されたにもかかわらず、大阪に本社がある「東和薬品」が後発医薬品を発売したとして、生産を止めるよう求める裁判を起こしました。
医薬品の特許権は、製薬会社の申請が認められれば通常の20年からさらに5年間延長できますが、法律の規定によって権利の及ぶ範囲が限定されるとされていて、裁判ではどれだけ範囲が狭まるかが争われました。
知的財産高等裁判所は、5人の裁判官による「大合議」で判決を言い渡し、設樂隆一裁判長は、すでに知られている技術を応用した場合などは特許権の侵害にあたるとして、権利が及ぶ範囲を具体的に示しました。
そのうえで、東和薬品の後発医薬品は権利の侵害にはあたらないとして、訴えを退けました。
20日の判決によって、特許権の期間が延長された場合の権利の及ぶ範囲が初めて示され、後発医薬品の開発に影響を与えるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB