日産自動車のカルロス・ゴーン前会長について東京地検特捜部は、私的な損失の信用保証に協力したサウジアラビア人の実業家の会社に日産の資金を不正に支出させたなどとして特別背任の罪で追起訴し、昨年度までの直近3年間のみずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪でも追起訴しました。ゴーン前会長はいずれの不正も全面的に否定しているということです。
東京地検特捜部によりますと、カルロス・ゴーン被告(64)は、11年前のリーマンショックで18億円余りの含み損を抱えた私的な為替取引の権利を日産に付け替えたほか、この損失の信用保証に協力したサウジアラビア人の実業家の会社に日産の子会社から1470万ドル、当時のレートで12億8000万円余りを不正に支出させたとして特別背任の罪に問われています。
関係者によりますと、特捜部の調べに対し子会社の当時の幹部は「実業家の会社に日産との取り引き実態はなく不要な支出だった」などと供述しているということです。
また特捜部は、昨年度までの直近3年間のみずからの報酬を有価証券報告書に42億円余り少なく記載した金融商品取引法違反の罪でも、ゴーン前会長と前代表取締役のグレッグ・ケリー被告(62)、それに法人としての日産を追起訴しました。
ゴーン前会長は今月8日の勾留理由開示の手続きで特別背任の罪について「日産には一切損害を与えていない。実業家は長年にわたる日産のパートナーで関係部署の承認を受け相応の対価を支払った」などと述べたほか、報酬の過少記載の罪についても「検察の訴追は誤っている」などと主張し不正を全面的に否定しています。
前会長の弁護士は11日にも裁判所に保釈を請求する方針です。
-- NHK NEWS WEB