15人が死亡した3年前の長野県軽井沢町のバス事故のあと行政処分などを受けたバス会社の半数以上にあたる500社余りで、運転手の健康状態などを確認する「点呼」が適切に行われていなかったことが分かりました。「点呼」の違反は軽井沢の事故でも指摘されていて、専門家は「点呼は事故防止に非常に重要で意識を変える必要がある」と指摘しています。
平成28年1月15日に起きた大学生など15人が死亡した軽井沢町のバス事故では、運行していた東京のバス会社で多数の法令違反が見つかり、その中で、事故の当日に運転手に対して「点呼」を行っていなかったことが分かっています。
「点呼」は運転手の健康状態を直接、確認したり、運行ルート上の注意点を伝えたりする安全対策の基本とされていて、出発前などに行うことが法令で義務づけられています。
NHKでは、軽井沢の事故のあとに国の監査で違反が見つかり行政処分や警告を受けた全国の貸し切りバス会社について公表されている資料を分析しました。
その結果、事故の翌日から先月15日までのおよそ3年間に全国で1001社が処分や警告を受け、このうち52%にあたる524社で点呼を行っていなかったり記録が不十分だったりといった「点呼」についての違反を指摘されていたことが分かりました。
これについて、貸し切りバスの安全対策に詳しい名古屋大学の加藤博和教授は「出発前などに点呼を行うと運転手も会社も安全への意識を高められ、事故を防ぐために非常に重要だ。そうした前提で意識を変えていく必要がある」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB