福井県にある高浜原子力発電所で20日夜、大型クレーンが原子炉の近くにある核燃料を保管する建物に倒れ、屋根の一部などが損傷した事故で、関西電力は当時、強い風が予想されたため、クレーンの固定を行ったとしていますが、倒壊を防げなかったとして、再発防止の対策が終わるまでクレーンを使った工事を中断することになりました。
20日午後9時50分ごろ、高浜原発2号機の原子炉がある建屋の隣の核燃料を保管する建物などに、長さ110メートル余りある大型クレーン1台が倒れ、屋上に横たわったような状態になりました。
関西電力によりますと、この事故で、これまでに屋根の雨水を集める設備などで損傷が確認されましたが、建物のプール内に保管されている核燃料に異常はなく、周辺の放射線量にも変化はないということです。
倒れたクレーンは原則40年の期間を超えて、1号機と2号機の運転を延長するために必要な安全対策の工事に使われていました。
当時、現場付近には暴風警報が出されていて、関西電力は20メートルほどの最大瞬間風速を予測し、メーカーの評価に従って、アームの先端から地面まで5トンのおもりをつり下げて固定していたということです。
しかし、実際には固定された方向とは逆側に倒れたということで、関西電力は固定方法などに問題がなかったか、原因の究明を急ぐとともに、再発防止策が終わるまでクレーンを使った安全対策の工事を中断することに決めました。
一方、原子力規制庁によりますと、現地の保安検査官が調べた結果、これまでのところ、安全上重要な設備に異常は見られないとして、今後、クレーンが移動したあとに建物の健全性などを確認するとしています。
-- NHK NEWS WEB