自治体が公共施設を所有したまま運営権を民間会社に売却する「コンセッション方式」。政府はコスト削減につながるとして推進していて、水道分野でもこの手法が可能になるよう先月、法律が改正されました。一方、過去にこのコンセッション方式などの官民連携を検討した全国の34の自治体にNHKが取材したところ、その85%で導入に向けた動きが進んでいないことがわかりました。
政府は公費負担の抑制につながるとして、空港や水道、公営住宅など10の重点分野と数値目標を定め、「コンセッション方式」の導入を推進しています。
内閣府が平成28年度、導入を検討する自治体に対し、調査費用を支援する事業を行ったところ、34の自治体から応募があり、NHKはこれらの自治体にその後の検討状況を取材しました。
その結果、上下水道市民会館などの文教施設、公営住宅の各分野で検討が行われましたが、85%にあたる29の自治体で導入に向けた動きが進んでいないことがわかりました。
理由として多かったのが、複数回答で「企業の参入が見込めない」の39%、次いで「現在の制度で対応可能」の23%、「コスト削減につながらない」の21%でした。
上下水道の分野で見ると、応募した12の自治体のうち、導入に向けて具体的に計画を進めているのは、高知県須崎市や宮城県など4つの自治体でした。
一方、石川県小松市や北海道木古内町など8つの自治体では導入を見送っていました。
内閣府は「コンセッションは官民連携の手法の1つで、政府として強制しているものではない。それぞれの自治体で最善の方法を選択してほしい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB