世界経済の大きな懸念材料になっている米中の貿易摩擦の解消をめざし、アメリカと中国の閣僚級の協議が、30日、ワシントンで始まりました。アメリカが強い不満をもつ知的財産権の侵害などの問題で中国がどれだけ譲歩するかが焦点になっています。
2日間の日程で始まった協議の冒頭、アメリカの交渉団を率いるライトハイザー通商代表が、「ワシントンへようこそ」と声をかけたのに対して、中国の劉鶴副首相が「すばらしい議論となるよう期待している」と応じました。
アメリカは、中国からの輸入品にさらに高い関税をかける制裁措置の発動を3月1日まで猶予して、協議に臨んでいます。
アメリカ側は、かねてから不満を持っていた知的財産権の侵害やサイバー攻撃、それに中国に進出した企業に技術の移転を強制している問題などで中国に対応を迫っています。
これに対して中国側は、技術の強制的な移転を禁止することを盛り込んだ法律の制定を進めているとして理解を求める方針です。
しかし、アメリカ側は口約束に終わらず確実に対応を実行する仕組みを求めていて、両国の主張はまだ隔たりが大きく、中国側がどれだけ譲歩するかが焦点になっています。
米中の貿易摩擦は、中国経済の減速をもたらしているうえ、アメリカ企業の業績にも影響を及ぼしはじめ、世界経済の大きなリスクになっています。
およそ1か月後の3月1日の交渉期限に向けて今回の閣僚協議で合意に向けた道筋を見いだせるか注目されます。
-- NHK NEWS WEB