株主がさまざまな商品や金券などを受け取れる株主優待。しかし、企業が受け取るとむだになる例もあることから、証券会社の社員らが、こうした株主優待の寄付を呼びかける珍しい取り組みを始めました。
上場企業の間では個人投資家に安定して株を持ってもらおうと、配当金以外に自社の商品やサービス券などを送る「株主優待」を導入する動きが広がっています。
しかし、企業や海外の投資家が株主の場合、食品などを廃棄したり優待を受け取る権利を放棄したりする例があるということです。
このため、証券会社や信託銀行の社員ら10人余りの有志がグループを作り、去年12月から大企業に対して株主優待がむだになる場合、寄付するよう呼びかける珍しい取り組みを始めました。
寄付は貧困家庭や障害者を支援するNPO法人などに幅広く送られるということで、すでにJT=日本たばこ産業が寄付を決めたということです。
グループでは、株主優待は年間1500億円相当の規模があり、少なくとも2%程度、30億円相当がむだになっているとみています。
発起人を務める野村証券の岸本和久さんは「全体から見ればむだになっている額は限られるかもしれないが、それを必要としているNPO法人などもいる。世の中全体でうまく株主優待が活用されるよう仲介をしていきたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB