風疹の患者数が去年、この10年余りで2番目に多くなったことを受けて、国は一部の世代の男性について、ワクチン接種が必要か調べる抗体検査とワクチンの接種を原則無料で受けられる制度を始めることになり、企業の中には、従業員に行う健康診断の項目に風疹の検査を新たに加える動きが出ています。
風疹は去年、全国の患者数が2917人と、この10年余りで2番目に多くなる流行となり、そのうちの6割以上は30代から50代の男性でした。
国は、子どもの時にワクチンの定期接種の対象にされていなかった39歳から56歳の男性を対象に、ワクチン接種が必要か調べる抗体検査と、必要だと判断された場合のワクチン接種が原則無料で受けられる制度を始めます。
そこで、企業が従業員に対して行う健康診断を請け負う団体は、ことし春の健康診断から抗体検査を新たに追加する提案をし、大手航空会社など数社がすでに実施を決め、検討中の企業も多数あるということです。
企業で働く合わせて90万人の健康診断を請け負っている全日本労働福祉協会の堀田芳郎さんは「働く男性を対象とするので、職場の健康診断に組み込むことがいちばん効率的だと思う」と話していました。
産業医で、風疹の予防に詳しい筑波大学の堀愛助教は「こうした取り組みはとても大切だ。抗体検査で風疹の免疫が不十分と分かればワクチン接種が必要となるので、検査結果とともに、ワクチンを必ず接種する仕組みや、接種のための時間を作る取り組みも進めてもらいたい」と指摘していました。
-- NHK NEWS WEB