安倍総理大臣は、衆議院予算委員会で、ことし10月の消費税率の引き上げに合わせ、キャッシュレス決済のポイント還元制度を実施するのを契機に、中小企業などのキャッシュレス化を進めていきたいという考えを示しました。
この中で、国民民主党の後藤祐一氏は、ことし10月の消費税率の引き上げに伴って実施されるキャッシュレス決済のポイント還元制度について、「中小企業は5%のポイント還元を行い、大手企業は力があるから値下げや同じようなポイント還元を行うというのは、デフレの促進になるのではないか。問題が大きいということになったら撤回すべきだ」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「体力の弱い中小企業・小規模事業者は競争上の不利もあるので、強力な需要喚起策などを講じるよう強い要望が寄せられており、今回のポイント還元はこうした現場の声を踏まえて、中小・小規模事業者に限定したうえで、消費をしっかりと下支えするために実施するものだ。これを契機としてキャッシュレス化を進め、国としても支援をしていく。撤回は考えていない」と述べました。
また、共産党の志位委員長も「キャッシュレス決済に対応できなくなる商店が出てくることや、カード会社に支払う手数料が心配だという声、それに、キャッシュレスになると商品が売れても現金がすぐに入ってこなくなるという懸念や不安、批判がある」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「中小・小規模事業者に対しては決済端末導入を支援し、負担をゼロにするとともに、手数料も3.25%以下としたうえで、その一部を補助する。海外では、急速にキャッシュレスが進んでおり、政府としてもこの機会を活用して支援していきたい」と述べました。
日本維新の会の下地国会議員団副代表は、北方領土問題を含むロシアとの平和条約交渉について「ことしは領土問題を解決する大事なタイミングであり、ことし解決しなければ来年もないという状況ではないか」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は「ことしはG20大阪サミットの機会にプーチン大統領が来日するので、その際に日ロ首脳会談を行いたい。そういうチャンスがある年であり、重要な年だと思っているが、ことしと期限を切るつもりはない。とにかく、少しでも平和条約交渉を進めたい」と述べました。
また、参考人として出席した国の統計を所管する総務省の統計委員会の西村清彦委員長は、厚生労働省の統計不正問題について「去年12月13日に分かったことは、全数調査をしていないということであり、本来の手法の調査に近づけるための『復元』をしていないことについては一切何もなかった」と述べました。
そのうえで、西村委員長は「その時点で、直ちに経緯をきちんと調べるように指示を出したが、その時以降、報告を受けておらず、統計委員会として何かすることはできない状況だった」と述べました。
また、菅官房長官は、定例の記者会見に関連し「総理大臣官邸の報道室長が記者会に対し、特定の記者の質問が事実に反しているなどとする文書を出したのは、取材の自由を封じることにつながるのではないか」と指摘されたのに対し「事実に基づかない質問が行われ、これに起因するやり取りが行われると、内外の幅広い視聴者に誤った事実認識が拡散されるおそれがあり、記者会見の意義が損なわれる懸念がある。記者会見の主催者である記者会に対し、正確な事実に基づく質問を心がけてもらうよう協力をお願いした」と説明しました。
-- NHK NEWS WEB