23日、ことしの春闘が事実上スタートしましたが、中小企業の多くも賃上げを行うと見られます。背景には人手不足があるという指摘もあります。
日本商工会議所が先月、全国の中小企業2977社を対象にした調査では、今年度、賃上げを行ったり、予定したりしている企業は58.7%に上りました。これは前の年の同じ調査に比べて3.1ポイント高くなっています。
東京・武蔵村山市にある従業員20人余りの機械加工メーカーもベースアップとして去年と同じ水準の2000円ほど基本給を引き上げることを検討しています。
この会社では、取引先の大手電子機器メーカーからの受注が減り、売り上げは去年に比べて2割ほど減っていますが、少子高齢化で人手不足が見込まれるなか、人材を確保するためには賃上げが必要だと考えています。
藤元佳子社長は、「取り巻く経済状況は厳しいが社員が安心して働き、会社を担う人材を育て確保していくために、基本給を上げることは必要です。仕事の効率化を図り、売り上げと利益の確保に努めたい」と話していました。
日本商工会議所産業政策第二部長の小林治彦さんは「中小企業では必ずしも収益が上がっているからではなく、人手不足感から実力以上の賃上げを行っている。人手不足は深刻化しているのでこの傾向は続くだろう」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB