国内のビール市場で長年、激しいシェア争いを繰り広げてきた「アサヒ」と「キリン」が、次なる成長に向けて、全く対照的な戦略を打ち出しました。
ビール系飲料のシェアで国内首位の「アサヒグループホールディングス」は、去年の決算で本業のもうけを示す事業利益が、前の年と比べて12%の増加となりました。総額1兆円以上を投じて買収したヨーロッパのビール事業が収益を押し上げた形で、今後3年間の経営計画でも、海外のメーカーの買収を積極的に推し進める方針を打ち出しました。
一方、国内2位の「キリンホールディングス」は、新たな中期経営計画で、病気の予防などにつながる健康ビジネスを収益の柱に位置づけました。消費者の健康意識の高まりで、“ビール離れ”が進むと見て、サプリメントや乳酸菌飲料などの事業に、今後3年間で3000億円規模の投資を行うとしています。
キリンホールディングスの磯崎功典社長は「人生100年と言われるなか、健康に過ごしたいというニーズは高まっている。会社の構造を大きく変革していく」と話しています。
国内のビール系飲料の市場が14年連続で過去最低を更新する厳しい経営環境のなか、大手2社の成長戦略の違いが鮮明になりました。
-- NHK NEWS WEB