中小企業を狙ったサイバー攻撃の深刻な実態が明らかになりました。大阪商工会議所と神戸大学などが調べたところ、調査対象のすべての企業が攻撃にさらされ、知らぬ間に情報流出などの被害が出ていたケースもあり、専門家は早急な対応が必要だと指摘しています。
この調査は、大阪商工会議所と神戸大学大学院の森井昌克教授らのグループが行いました。
グループでは、大阪府内の製造業や小売業など中小企業30社に、インターネットを通じたサイバー攻撃を記録する機器を設置し、去年9月から3か月余りにわたって観測を続けました。
その結果、調査した30社すべてで何者かからサイバー攻撃を受けていたことを示す不審な通信が記録され、このうち少なくとも5社では悪意のあるサイトとの間でデータのやり取りが繰り返されていました。
これは、コンピューターウイルスに感染するなどして知らぬ間に情報が流出したおそれがあることを示していて、さらに解析すれば、情報が流出している企業がほかにも見つかる可能性があるということです。
グループによりますと、中小企業を狙ったサイバー攻撃の実態が明らかになったのは初めてで、ことし4月ごろに最終的な調査結果を公表することにしています。
神戸大学大学院の森井昌克教授は「気が付いていないだけで、実際には被害が広がっていることが初めて実証された。かなり深刻な状況だ。中小企業は対策が不十分なところも多く、国がセキュリティー支援を拡充するなど早急に対応が必要だ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB