12年前に和解が成立した「東京大気汚染訴訟」の元原告など、各地のぜんそく患者ら90人余りが18日、国の公害等調整委員会に調停を申し立てました。和解を受けて始まった医療費の助成が縮小されているなどとして、国などに対し、新たな制度を作ることなどを求めています。
調停を申し立てたのは、12年前の平成19年に国などとの間で和解が成立した「東京大気汚染訴訟」の元原告など各地のぜんそく患者ら94人と、「全国公害患者の会連合会」です。
18日は代理人の弁護士ら15人が、午前10時すぎに東京 霞が関にある国の公害等調整委員会を訪れ、申請書を提出しました。
「東京大気汚染訴訟」は、ディーゼル車などの排気ガスによる大気汚染が原因でぜんそくになったとして、600人を超える東京の患者などが国や東京都、それに自動車メーカーなどを訴えたもので、国などが患者の医療費を全額助成する制度を創設することなどを条件に和解が成立しました。
和解のあと、国や東京都、自動車メーカーなどが資金を拠出し、医療費を全額助成してきました。
しかし弁護団によりますと、平成26年度いっぱいで200億円の資金が底をつき、国と自動車メーカーが追加の拠出に応じないため、去年4月からは一部が患者の自己負担になり、助成が縮小されているとしています。
さらに、こうした大気汚染によるぜんそく患者は、全国各地にいるにもかかわらず、医療費を助成している自治体は、東京都など一部にとどまっているとして、申し立てでは、国に対し大気汚染が原因のぜんそく患者などの医療費を全国一律で全額助成する新たな制度を作ることや、国や自動車メーカーに制度の運用に必要な財源を負担することなどを求めています。
このため今回の申し立てには「東京大気汚染訴訟」のほか、大阪西淀川区や名古屋市、それに千葉市など、過去に大気汚染をめぐって裁判が起こされた地域のぜんそく患者らも参加しています。
申し立てを受けて公害等調整委員会は患者側と国、それに自動車メーカーの間で話し合いの場を設け、解決の道を探ることになります。
-- NHK NEWS WEB