がん患者から取り出した免疫細胞を人工的に強化してがん細胞を攻撃する最新のがんの免疫療法、「CAR−T細胞療法」が、一部の白血病などの治療法として国に承認されることが決まりました。「CAR−T細胞療法」が承認されれば国内では初めてです。
国に承認されることが決まったのは、新しいがん免疫療法である「CAR−T細胞療法」の「キムリア」という治療法で、大手製薬会社ノバルティスファーマが申請していました。
この治療法は、がん患者の体内からT細胞と呼ばれる免疫細胞を取り出し、攻撃する力を高める遺伝子を組み込んで体内に戻すことでがん細胞を攻撃します。
対象となるのは、一部の急性リンパ性白血病など血液のがんの患者のうち、標準的な治療法では効果が期待できなくなるなどした場合で、国内では年間最大で250人ほどになると見込まれています。
「キムリア」を使った「CAR−T細胞療法」は、アメリカやヨーロッパではすでに承認されていて、これまでの臨床試験では一部の白血病の患者に治療を行い、その8割でがん細胞が検出されなくなるなど高い効果が報告されているということです。
一方で、患者1人の治療費は、アメリカではおよそ5000万円と高額になっていて、今後、日本でほかのがんに適応が広がるなどして治療を受ける患者が増えると、国の医療保険制度に影響を与えかねないと懸念されています。
厚生労働省は、今後、正式に承認したあと、価格を決める審議を行うことにしていて、治療が始まるのはその後になる見込みです。
-- NHK NEWS WEB