東京都内では、振り込め詐欺の手口で、家にある現金の額を聞き出す「アポ電」と呼ばれる不審な電話が相次いでいます。このうち、去年7月、渋谷区に住む高齢の夫婦の自宅に、息子を名乗る男から電話がかかってきた際の音声が残されていました。
男ははじめに、「桃をたくさんもらったので実家に送った」などと話し、母親の警戒心を解いたうえで、「ちょっと相談事がある」と言って、会社の金を3000万円、横領してしまったと打ち明けました。
「金は株の購入で使ってしまった」と説明し、このあと株を売れば横領した金額は戻ってくるが、「きょう監査が入る予定で、すぐに300万円が必要だ」と母親に頼み続けます。
母親は、息子が会社の金を使い込むことはありえないと伝えますが、男は実家まで説明に行くから金を貸してほしいと頼み込みます。
そして、男は、詐欺の電話ではないと伝えたうえで、「300万円から500万円ぐらい銀行にあるでしょ。かき集めたらいくらぐらいになる?」と話して、銀行の口座にいくらあるか執ように尋ね続けます。
およそ4分間、口座の残高を尋ね続けましたが、母親は答えず、父親に電話を代わったあと息子ではないと確信し、電話を切りました。
警視庁によりますと、こうした「アポ電」の件数は、年間およそ1万件ずつ増加していて、去年1年間では3万4658件、確認されているということです。
-- NHK NEWS WEB