安倍総理大臣は、参議院本会議で行われた2日目の代表質問で、日米同盟について、安全保障環境が厳しさを増す中、地域の平和と繁栄のために重要だと強調し、防衛力を強化し、日本が果たす役割の拡大を図っていく考えを示しました。
日本維新の会の片山共同代表は、アメリカのトランプ大統領が選挙期間中、日本を含む同盟国との関係見直しに言及してきたことに関連して、「『自分の国は自分で守る』という原則に向け、防衛費の対GDP=国内総生産比など、必要な見直しがあれば検討すべきだ」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「アジア太平洋地域の安全保障環境が一層、厳しさを増す中、地域の平和と繁栄の礎として日米同盟の重要性は増している。安全保障政策において根幹となるのは、みずからが行う努力であるとの認識に基づき、わが国としても、防衛力を強化し、みずからが果たし得る役割の拡大を図っていく」と述べました。
また、安倍総理大臣は、トランプ大統領が日本も挙げながら貿易の不均衡を是正する考えを示していることについて、「日本企業はアメリカのよき企業市民として、アメリカ経済に貢献している。活発な貿易投資は、日本経済、日米経済関係の活力の源泉であり、トランプ政権との間で、日米経済関係のさらなる発展、深化を図るため、官民を挙げて取り組んでいきたい」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、トランプ大統領が離脱を決めたTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、発効に向けて引き続き、ほかのTPP署名国と緊密に連携していく考えを示しました。
自民党の岡田参議院幹事長代理は、新潟県糸魚川市の大規模火災について、「今回の教訓を生かし、全国的に火災に対する備えを見直し、防災・減災対策を一層、充実していく必要がある」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「今回のような木造建物が密集した地域における消防の在り方については、有識者を含めた検討会を設置し、今回の消防活動などを検証したうえで、火災予防や消防活動・消防体制などの充実・強化の在り方を検討していく。貴重な教訓をしっかりと踏まえ、防災・減災対策の体系的な見直しを不断に行っていく」と述べました。
民進党の牧山ひろえ参議院議員は、同一労働同一賃金の実現に向け、正社員と非正規の労働者の不合理な待遇差を是正するための法案について、「賃金などの処遇は、使用者が運用するもので、労働者が『不合理だ』と立証するのは困難だ。立証責任は使用者が負うことを法案に明記すべきだ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「不合理な待遇差を個別具体的に是正するため、詳細なガイドライン案を昨年末、公表した。ガイドライン案の実効性を担保するため、裁判での強制力を持たせるようにする法改正案の早期国会提出を目指す。不合理な待遇差の是正を求める労働者が実際に裁判で争えるよう、実効性のある法制度としていく」と述べました。
自由党の山本太郎共同代表は、「共謀罪」の構成要件を厳しくして「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法の改正案について、「国民を監視し、権力が思想・信条の領域にまで足を踏み入れるとんでもない法律だ」と批判しました。
これに対し、安倍総理大臣は「東京オリンピック・パラリンピックを安全に開催するためには、国際社会と緊密に連携してテロ対策に万全を期す必要がある。一般の方々が対象となることはありえないことがより明確になるよう検討を行っており、指摘は全くあたらない」と述べました。
一方、民進党の風間元外務政務官が、会計検査院の職員の再就職をめぐって、「文部科学省、国土交通省、経済産業省、農林水産省が、所管する法人などに、あっせんしているのではないか」などと指摘したのに対し、安倍総理大臣は、会計検査院は、厳正かつ公正な会計検査を実施することが求められており、再就職は、こうした趣旨を踏まえるとともに、国家公務員法の規定にのっとって行われていると答え、指摘された4つの省の大臣は、いずれも、そうした事実はないという認識を示しました。
-- NHK NEWS WEB