東京オリンピックの招致をめぐる贈賄に関与した疑いでフランスの司法当局から調査を受けている、JOC=日本オリンピック委員会の竹田恒和会長が「今回世間を騒がせたことを大変心苦しく思っている」と述べて、ことし6月の任期いっぱいで会長を退任することを表明しました。
竹田会長は19日午後、都内で行われたJOCの理事会で「今回世間を騒がせたことを大変心苦しく思っている。JOCの将来を思うと、次代を担う新しい若いリーダーに託して新しい時代を切り開いてもらうことがふさわしい。定年を迎えるJOCの会長、理事を退任することとしたい」と述べて、一連の問題で世間を騒がせた責任を取り、ことし6月の任期いっぱいで会長と理事を退任することを表明しました。
あわせてIOC=国際オリンピック委員会の委員も辞任する意思を明らかにしました。
竹田会長をめぐっては、みずからがトップを務めた東京大会の招致委員会がシンガポールのコンサルタント会社に支払ったおよそ2億2000万円について、贈賄の疑いが持ち上がり、フランスの裁判所は去年12月から裁判を開くかどうかを審査する「予審手続き」を進めています。
竹田会長は一貫して潔白を主張していますが、ことし1月に開いた記者会見で質疑応答に応じなかったことに批判が集まったほか、IOC=国際オリンピック委員会が東京大会へのリスクなどの強い懸念を伝えていました。
竹田会長は理事会のあと取材に応じ「これまで話したように不正なことはしていない。潔白を証明すべく今後も努力したい」と述べ改めて贈賄の疑いを否定しました。
そのうえで、ことし1月の記者会見で質疑に応じなかったことについて「質問に答えるつもりだったが、いろいろな人の意見があって不本意だったがああいう対応になった。誤解を招いたことは残念だった」と述べました。
竹田会長は退任を決めた具体的な時期は明らかにしませんでしたが、オリンピック本番まで1年4か月に迫った時期に開催国のオリンピック委員会のトップが交代する異例の事態となり、国内外で傷ついた大会に対するイメージをどのように回復させていくかが問われることになります。
-- NHK NEWS WEB