福井県にある高浜原子力発電所で今月20日、大型クレーンが倒れ、核燃料を保管する建物の屋根の一部などが損傷した事故で、メーカーの取扱説明書に書かれた「瞬間風速が30メートルを超えると予想される場合、クレーンを下ろす」などの対策がとられず、関西電力が当時の対応の経緯を調べています。
今月20日午後10時前、高浜原発2号機の安全対策の工事に使われていた長さ110メートル余りあるクレーンが倒れ、原子炉が入る建屋の隣にある核燃料を保管する建物の屋根の一部などが損傷しました。
関西電力は当時の風の実況から強風で倒れたとみています。関西電力によりますとクレーンは当日の午後4時半ごろ、およそ100メートルの高さにある先端部分を地上に置かれた5トンの重りとワイヤーで結び固定されたということです。
しかし、メーカーの取扱説明書に書かれた瞬間風速が30メートルを超えると予想される場合、事前にクレーンを地上に下ろしておくという対策はとられず、瞬間風速が10メートル以上の場合に求めているクレーンの背を風上に向ける対策もとられていませんでした。
福井地方気象台は当日の朝、情報を出し、夜遅くから北の風が強まり、福井県内の陸上で最大風速が20メートル、最大瞬間風速が35メートルと予想されるとして警戒を呼びかけていました。
これについて関西電力は「事実関係を含め原因を調査中」としています。
関西電力は翌日、報道各社に対し、5トンの重りで固定することで、42メートルの瞬間風速まで耐えられると評価したと説明していますが、評価が正しかったかを含め風への対応の経緯を調べるとともにクレーンに損傷や腐食がなかったかも調べることにしています。
-- NHK NEWS WEB