来年4月から小学校で使われる教科書の検定が終了し、教科化により、今回が初めてとなる英語などすべての教科書が合格しました。
今回の検定には合わせて164点の教科書が申請されましたが、文部科学省の検定意見による修正をへて、すべての教科書が合格しました。
このうち、小学校高学年の外国語の英語は今回が初めての検定となりました。
これまで小学校の英語は話したり、聞いたりする内容が中心でしたが、5年、6年の高学年で教科化され新たに教科書が作られたことで読んだり書いたりする内容も盛り込まれ、単語も600語以上使われています。
一方で、現在進行形を使ったり、「because」などの接続詞を使ったりした記述は、学習指導要領の内容に照らして不適切だとして意見がつけられました。
教科書会社の担当者は「子どもの発想力や想像力を大切にしようとしたが、指導要領に基づき、単語や文章も盛り込まねばならず、構成が難しかった」と話していました。
一方、社会は沖縄県の尖閣諸島と島根県の竹島について、北方領土と同じく「固有の領土」と扱うよう小学校の学習指導要領に明記されてから、初めての検定でした。
今回、これに基づいて付けられた意見は合わせて3件でした。
また、同じく領土については、中国や韓国など相手国の主張を書いた記述に対して、日本政府の見解や立場を記すよう求める意見がつきました。
文部科学省は「子どもたちに領土をめぐる状況を正しく理解してもらうことを心がけた」としています。
教育政策に詳しい名古屋大学大学院の中嶋哲彦教授は「政府見解を教育内容にどこまで反映させるかについては、各教科書会社の裁量に任せることも重要だ」と指摘しています。
今回の検定に合格した教科書はことし夏に各地の教育委員会などが採択し、来年4月から全国の小学校で使われます。
-- NHK NEWS WEB