南海トラフ巨大地震のおそれが高まったとして出される「臨時情報」に対応するため、自治体などが防災計画をつくる際のガイドラインを国が公表しました。基本的な考え方は、「地震に備えつつ、通常の社会活動をできるだけ維持すること」で、住民生活や学校、企業など、さまざまな分野の計画をどう調整していくかが課題です。
南海トラフ地震に関する臨時の情報は、巨大地震が発生する可能性がふだんと比べて相対的に高まったと評価された場合に気象庁が発表する情報で、おととし11月に運用が始まりました。
自治体や住民などが取るべき行動は、具体的に決まっていませんでしたが、国は29日、防災計画作りの参考となるガイドラインを公表しました。
震源域の半分程度が先行してずれ動いてマグニチュード8クラスの地震が起き、次の巨大地震に警戒が必要だとされた場合、最初の地震で被害が出ていない地域でも、一部の住民は1週間、事前に避難するとしています。
事前避難の対象地域は、地震発生から30分以内に津波で30センチ以上浸水する場所のうち、近くに避難ビルなどが無く、すぐに避難できない範囲です。
また、避難に時間がかかるお年寄りなど「要配慮者」にかぎって事前避難する地域も定めるとしています。
企業に関しては、事前避難対象地域にある場合は、危険を避ける措置を取るとしたうえで、日頃からの備えを再確認しつつ、できるかぎり事業を続けることが望ましいとしました。
ガイドラインは、基本的な考え方として、現在の科学では地震発生の正確な予測はできないため、「地震に備えつつ、通常の社会活動をできるだけ維持することが必要だ」としており、自治体や学校、企業などが個別につくる防災計画をどう調整していくかが課題となります。
山本防災担当大臣は「国と地方が一体となっていつ起こるかわからない地震災害への備えに万全を期していく」と述べました。
-- NHK NEWS WEB