イギリス議会が、EU=ヨーロッパ連合からの離脱の条件を定めた「協定案」を3たび否決したことで「合意なき離脱」への懸念が強まっています。イギリスのEU離脱は、これからどのような流れになるのでしょうか。
離脱の延期は4月12日までしか認められません。
EUはそれまでに打開策を示すよう求めており、イギリスはこれから2週間でメイ首相の離脱方針に代わる道を決めなくてはなりません。
今後のシナリオとして、まず考えられるのが「離脱の長期延期」です。
新しい方針の実現に向けた手続きを進めるため、EUに対してより長期の延期を求めます。EUと改めて交渉したり、2回目の国民投票や総選挙を実施したりする場合、かなりの時間が必要になるためです。
イギリス議会は、今月27日に国民投票の実施や関税同盟にとどまることなど、8つの選択肢について投票を行いましたが、多数の賛成を得られた選択肢はなく、来月1日に改めて議論することになっています。議会の多数が支持する選択肢が見つかれば、これをきっかけに新たな方針がまとまる可能性があります。
ただ、5月に行われるヨーロッパ議会選挙への参加が求められることから、EUに残り続けることになり、反対する議員も多くいます。
また、「合意なき離脱」も考えられます。
メイ首相の方針に代わる案をまとめられず来月12日を迎えると、EUと何の取り決めもないまま離脱することになる可能性がありますが、暮らしや企業活動に甚大な影響が出ると特にビジネス界に懸念が広がっています。
このほか「離脱の撤回」という選択肢もありますが、イギリス政府は、3年前の国民投票で示された意思を覆すものだとして強く否定しています。
イギリスにとっては今後、どれを選ぶにも厳しいハードルが待ち受けています。
-- NHK NEWS WEB