香港政府が、中国本土などから逃亡してきた容疑者の身柄を引き渡すための条例改正を検討していることに反発し、民主派の団体などが大規模なデモを行いました。デモに参加した人たちは、香港で中国に批判的な活動をしている人なども中国政府に引き渡しを求められかねないと懸念しています。
香港政府は、中国本土などから香港へ逃亡してきた容疑者の身柄を引き渡すための条例改正を検討していて、4月3日に議会に改正案を提出して審議が始まる見通しです。
これに反発する民主派の団体などがデモを呼びかけ、31日、主催者の発表でおよそ1万2000人が集まりました。
参加した人たちは、条例が改正されると香港で中国に批判的な活動をしている人なども中国政府に引き渡しを求められかねないと懸念しています。
中国共産党に批判的な本を香港で扱っていた書店の元店長で、中国本土で拘束されたことのある林栄基さんは「中国政府は政治的な理由でも刑事事件にしてしまう。中国に引き渡されると私の経験からも人道的な扱いは受けられず、中国政府は信用できない」と話していました。
別の男性は「条例は最悪で、香港の自由を破壊してしまう」と強い危機感を示しました。
条例の改正をめぐっては、香港にあるアメリカの商工会議所も「深刻な懸念があり、国際的な企業にとって香港の魅力が減るだろう」という声明を出しています。
-- NHK NEWS WEB