日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が中東のオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部を私的に流用し、合わせて5億6000万円余りの損害を与えたとして、東京地検特捜部は、特別背任の疑いでゴーン前会長を再逮捕しました。特捜部が一度保釈された被告を再逮捕するのは異例で、前会長は、容疑を全面的に否認しているということです。
再逮捕されたのは日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)です。
東京地検特捜部によりますと、ゴーン前会長は、平成27年から去年にかけて、知人が経営するオマーンの販売代理店に日産から支出させた資金の一部を私的に流用し、合わせて5億6000万円余りの損害を与えたとして、特別背任の疑いが持たれています。
関係者によりますと、オマーンの代理店に支出された資金の一部は、代理店のインド人の幹部の個人口座を通じてレバノンのペーパーカンパニーに送金され、前会長が使っていたクルーザーの購入資金に充てられたり、前会長の息子が経営するアメリカの投資関連会社側に流れたりしていた疑いがあるということです。
ゴーン前会長は、みずからの報酬を有価証券報告書に少なく記載した金融商品取引法違反の罪や、サウジアラビア人の知人側に日産の資金12億円余りを不正に支出させた特別背任の罪で逮捕・起訴され、108日間にわたって身柄を拘束されたあと、先月6日に保釈されていました。
ゴーン前会長の逮捕は4回目で、特捜部が一度保釈された被告を再逮捕するのは異例ですが、特捜部の担当の副部長は、「今回の事件は逮捕の必要性があり、日産に与えた損害額などの事情も考慮した」などと説明しました。
関係者によりますと、ゴーン前会長は、容疑を全面的に否認しているということで、これまでの取材に対し前会長側は、オマーンの代理店に支払われた資金について、「日産の部下の要請を受けて長年支払ってきた正当な報奨金で、クルーザーの購入も日産とは関係がない」と説明していました。
-- NHK NEWS WEB