平成の初めに本来の役目を終え、熱心な鉄道ファンによって一部が保存された、岡山県の旧片上鉄道で7日、元号が「平成」から「令和」へとかわるのを記念する特別車両が運転され、多くの鉄道ファンなどでにぎわいました。
岡山県東部を南北に走っていた旧片上鉄道は、鉄鉱石を運ぶため民間会社によって作られましたが、平成3年、鉱山の閉鎖に伴って、70年余りの歴史に幕を下ろしました。
現在は熱心な鉄道ファンが、岡山県美咲町に残された400メートルの線路と古いディーゼルカーを使って、月に1度、鉄道ファンや観光客を乗せて運転を行っています。
7日は平成最後の運転日のため、日本で最も古い昭和9年に製造されたディーゼルカーに、「さようなら平成号」とか「こんにちは令和号」というヘッドマークをつけた特別車両が線路を行ったり来たりしました。
赤とクリーム色のツートーンのレトロな車両が、甲高い警笛を鳴らして満開の桜の中を走り抜けると、訪れた多くの人たちがカメラのシャッターを切っていました。
片上鉄道が廃止される前の昭和58年以来、36年ぶりに訪れたという大阪府の男性は、当時撮った写真を手に乗車し、「昔と変わらず、動いていることに感激しました。保存活動に敬意を表すとともに、次の時代にも残ってほしいです」と話していました。
この地域は平成の時代を通じて過疎化が進んだものの、鉄道の保存が観光客の誘致にもつながっているということで、片上鉄道保存会の森岡誠治さんは「保存活動で平成の時代に3000キロの距離を走らせることができた。車両にも寿命があるとは思いますが改元を機に距離を0にリセットして、新しい時代にも多くの距離を走らせたいです」と話していました。
-- NHK NEWS WEB